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子供の人権

いじめ
「児童虐待」って何だろう?


 かつて、日本においても、一部の子供が労働力として搾取(さくしゅ)されたり、生活の糧として買売春の対象とされた時代があり、また、世界の各地では子供が戦渦に巻き込まれ、尊い命を失ったり、食糧難や病気の犠牲となっています。
現在の日本社会において、子供たちの間で起こる陰湿かつ執拗(しつよう)な「いじめ」は全国各地で多発しています。また、家庭においては児童虐待が増加しており、中には死に至らしめるという痛ましい事件もあり、子供の人権問題が十分に保証されているとは言いがたい状況にあります。
核家族化の進行など家庭環境の変化や地域社会のつながりの希薄化などがあげられ、子育て家庭が親族の援助を受けられなかったり、地域から孤立することによって子育てへの不安や負担が大きくなっていること、経済的不安定などにより親のストレスが増加するなどさまざまな要因が考えられます。
 さらに、親の経済的不安定などにより、子供の教育格差が生じたり、健康で文化的な生活が送れなくなること、また、このような状態の世代間連鎖等、子供の貧困が問題となっています。平成26年(2014年)1月には、子供の貧困対策を総合的に推進することを目的とした「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が施行され、子供の将来がその生まれ育った環境によって左右されることのない社会を実現するために、教育、生活の支援などに取り組むとこととされています。
 また、近年、少年非行についても、低年齢化や凶悪化などをめぐってさまざまな議論がなされています。少年非行を起こす子供については、育ってきた環境や抱えている問題はさまざまであり一様に捉えることはできませんが、全体的な特徴として、規範意識や人とのコミュニケ―ション能力が低く、感情や行動をコントロールする力が弱いことが指摘されています。また、自己肯定感が低く人との愛着関係の形成に支障が生じていることがうかがわれ、これらが相互に関係しながら社会への不適応につながっているという考え方があり、子供の人権という観点からもこの問題を捉えていく必要があります。
 さらに、インターネットや携帯電話等の普及と利用者の拡大に伴った児童買春等性的搾取の急増、シンナー・薬物乱用のまん延、学校への不登校、体罰・いじめ、「学級崩壊」というわれる現象や引きこもりなど、子どもの人権を侵害する問題はさまざまな形で現れています。
特に、出会い系サイトの利用に起因した児童買春事件等の犯罪が急増し、平成15年(2003年)9月に「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」(出会い系サイト規制法)が施行されました。
 その後、児童の被害者数は、いったん減少したものの、平成18年(2006年)には再び増加に転じたことから、出会い系サイト事業者に対する規制等を強化するため、平成23年(2011年)6月に同法一部改正法が施行されました。
 また、学校裏サイトといった匿名掲示板やコミュニティサイトなどを利用した誹謗中傷事案の増加、わいせつ画像を含むアダルトサイト、自殺関連サイト等の有害サイトの乱立により、簡単にアクセスし、個人情報を書き込んでトラブルになるなど、子どもたちの被害は依然として多発しています。
 このため、平成21年(2009年)4月に「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」(青少年インターネット環境整備法)が施行されました。
 このような問題を解決するためには、すべての子供たちが、自らをかけがえのない存在として実感し、また、相手をも尊重し、支え合えるような社会づくりをおとなの責任において進めていく必要があります。また、おとな自身が子供は次代の担い手であり、無限の可能性を秘めた人類の宝であるという、子供の人権尊重の意識を醸成していかなければなりません。

いじめ

 いじめ問題の原因や背景には、学校・家庭・地域社会のそれぞれの要因が複雑に絡み合った根深いものがあると考えられています。
現代の社会は、人間関係が希薄化する傾向にあるという問題、家庭や地域の教育力が低下しているという問題、学校が子供たちの多様な実態に十分対応できていないという問題など、様々な問題を抱えています。そうした中で、子供たちについては、生活体験・社会体験・自然体験、異年齢者との交流が少なく、社会性が不足しているのではないか、他人への思いやり、生命や人権の尊重、正義感や遵法精神等の倫理観が十分養われていないのではないか、自己抑制力、自立心等の生活態度にかかわるしつけが十分なされていないのではないか、など様々な問題が懸念され、こうしたことがいじめ問題の背景にあると指摘されています。
 いじめは、いじめを受けた児童等の教育を受ける権利を著しく侵害し、心身の健全な成長や人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、児童等の生命又は身体に重大な危険を生じさせるものです。いじめが大きな社会問題化したことを受け、平成25年(2013年)9月に「いじめ防止対策推進法」が施行され、同年10月には「いじめの防止等のための基本的な方針」策定により、いじめの防止等のための対策に関する国の基本的な行動計画が示されました。
 いじめは、人間の尊厳、人権侵害に関わる重大な問題であり、絶対に許されない行為です。また、子供は社会の財産であり、いじめによりつらく苦しい思いをしている子供を一刻も早く救うために、学校・教職員だけではなく、保護者をはじめ県民一人ひとりが真剣にこの問題と向き合い、社会総ががりで対応することが必要です。

「児童虐待」って何だろう?

 児童虐待は、殴る、蹴るといった身体的なものだけでなく、性的な虐待、放任、不適切な養育、心理的な虐待等も含まれます。

(1)児童の身体に外傷が生じ、また生じる恐れがある暴行を加えること。
(2)児童にわいせつな行為をすること、または児童にわいせつな行為をさせること。
(3)児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食、または長時間の放置、
その他保護者としての監護を著しく怠ること。
(4)児童に著しい心の傷を与える言動を行うこと。

虐待相談の主な虐待者の割合(件数とその割合)

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≪平成26年度 和歌山県 子ども・女性・障害者相談センター資料より≫

被虐待児の年齢構成割合(件数とその割合)

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≪平成26年度 和歌山県 子ども・女性・障害者相談センター資料より≫

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