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外国人の人権
交通手段や情報通信技術の急速な進展により、人、モノ、情報の交流が国境を越えて活発化し、社会、経済、文化の面において、国際的な相互依存の関係が深まる中、定住する外国人は増加しています。
日本社会では、在日韓国・朝鮮人などに加えて、1980年代以降、インドシナ3国などから難民として来た人々や国際結婚による定住者、また、アジア各国や中南米から来日した外国人労働者などが増加し、民族、文化、宗教的にますます多様化の様相を呈しています。
平成7年(1995年)に日本が批准した「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約」(翌年から日本国内において効力発生)では、人種的相違に基づく優越性のいかなる理論も科学的に誤りであることを明記しており、また、日本国憲法が規定する基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみを対象としていると解されるものを除き、日本に在留している外国人に対しても等しく及ぶものとされています。
しかし、文化の違いによる理解不足などから外国人に対する偏見や差別が生じています。
特に、日本と朝鮮半島をめぐる様々な歴史的経緯から、日本において永住者として生活せざるを得なかったり、その後、様々な事情により引き続き日本に住み続けている在日韓国・朝鮮人を対象とした誹謗中傷や差別的な事案が見受けられます。平成28年(2016年)6月には、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」が施行され、特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的言動(いわゆるヘイトスピーチ)の解消をめざしています。
また、就労の場では、賃金や労働時間などの点で日本人に比べて不利な条件で雇用されるなどの問題も起こっています。定住外国人の公務員への採用等に係る国籍要件や定住外国人の地方参政権についても、さまざまな議論が行われています。
和歌山県では、平成10年(1998年)に「和歌山県国際交流センター(※)」が設置され、また、平成15年(2003年)に策定された「和歌山県国際化推進指針」に基づき、国際化社会に対応した施策が進められています。
世界には国の数だけ、あるいは民族の数だけ文化があります。自らの文化を含め、あらゆる文化は対等であることを前提に、お互いに理解し認め合うことが大切です。
外国人差別は往々にして人種差別あるいは民族差別と重なり合います。こうした差別は、人種差別撤廃条約の理念のみならず、日本国憲法の掲げる理念と相容れないものです。人種や民族に対する差別と偏見をなくし、異なる文化を持つ人々と共に生きる社会の実現をめざして、国際社会にふさわしい人権意識を育むことが必要です。
(※)和歌山県国際交流センター
和歌山県内に在住する外国人への支援を行う拠点として、平成10年(1998年)に和歌山県が「和歌山ビッグ愛」に設置した施設です。国際交流や国際協力を行う県民の活動支援や、それらに関する情報の収集、発信を行っています。
いろんな国の人たちと共に
和歌山県の在留外国人数は令和元年(2019年)6月末現在で、6,868人となっています。日本で暮らしている主な理由は、留学、研修または労働等さまざまですが、地域社会では、文化の違いによる理解不足などから外国人に対する偏見や差別が生じています。
国籍や民族に関わらず地域に暮らす住民の一人として外国人も人権及び基本的自由の平等な享有又は行使が保証されているとの認識を深めるなど、国際化社会にふさわしい人権意識を育むことが重要です。
また、日常生活では、外国人を特別視せずに、文化の違いを尊重するとともに、就労の場においても、日本人と平等に扱われ、さらにその能力が十分に発揮されるなど、外国人が偏見や差別を受けることなく、地域社会の一員として、いきいきと安心して生活できる社会づくりも大切です。