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さまざまな人権

自殺
ひきこもり
刑事手続きに関わりを持った人
ホームレス
LGBTや性同一性障害のある人等の人権
患者の人権、アイヌの人々の人権や北朝鮮当局による拉致問題等

自殺

 平成10年(1998年)から14年連続で年間3万人を超える状況が続いていた日本の年間自殺者数は平成24年(2012年)には3万人を下回り、平成30年(2018年)には¥2万31人と、9年連続で減少しています。しかし、15歳から39歳までの若い世代の死因の第一位が自殺となっており、また、自殺死亡率が他の先進国と比較しても高い水準にあることなどから、自殺対策の更なる推進が求められています。
 和歌山県では、平成30年(2018年)4月に基本的な取組方針を明らかにした「和歌山県自作対策計画」が策定され、自作対策を推進するため、和歌山県自殺対策推進センター(※)が中心となり、医療、福祉、教育、産業等の関係分野の各団体と相互に連携し、相談支援体制の確立及び啓発、さらには自死遺族へのケアなど、生きる事への包括的な支援としての自作対策が進められています。

(※)和歌山県自殺対策推進センター
 自作対策の拠点として、平成30年(1998年)4月から県障害福祉課及び和歌山県精神保健福センターで運礼している機関です。県内の自殺における現状を把握し、自作未遂者や自死遺族の支援、県民への啓発や自殺対策従事者への研修を行うなど、広範囲な自殺対策に取り組まれている。

ひきこもり

 自宅以外での生活の場が長期にわたって失われるひきこもりは、挫折体験・性格傾向・家庭環境等複雑な要因が絡み合って、本人の意志では離脱することが難しいとされており、本人と家族に対する包括的な支援が必要です。
 ひきこもりといいう言葉は広く知られていますが、ひきこもりと一言で言っても、本人や家族が抱えている悩みや解決すべき問題は多様です。それにも関わらず、誤解や偏見により、本人や家族が心理的にも社会的にも孤立してしまい、回復の道が閉ざされていることが少なくありません。
 和歌山県精神保健福祉センターに設置されているひきこもり地域支援センター(※)及び保健所による相談支援や啓発活動が行われています。

(※)ひきこもり地域支援センター
 地域のひきこもり支援の核として、都道府県・政令指定都市が設置する機関で、本人等からの相談窓口を担うほか、教育、保健、福祉、労働などのひきこもり支援に関係する機関同士の連携強化や、ひきこもり支援に必要な情報発信を行います。和歌山県では、和歌山県精神保健福祉センターに設置しています。

刑事手続きに関わりを持った人

 被疑者(捜査対象とされてはいるが、まだ起訴されていない者)や被告人(起訴されてはいるが、まだ、その裁判が確定していない者)は裁判により有罪であることが確定するまでは無罪として取り扱われます。被疑者には不当に身体拘束されない権利や、一定の条件のもとに国選弁護人選任制度などが、被告人には国選弁護人選任制度や迅速な裁判を受ける権利などが保障されています。
 しかし、被疑者・被告人の諸権利が形式的なものになっているのではないかとの強い指摘もあり、より実質的な権利保障の在り方が議論されています。
 さらに、裁判で有罪となり、実刑が確定すると、刑務所などの施設に受刑者として収容されます。受刑者は、一定の権利の制限はありますが、人間としての尊厳は当然守られるべきであり、看守による受刑者に対する不当な拘束や暴力は人権侵害の顕著な現れです。
 また、刑を終えて出所した人は、社会の根強い偏見などのため、住宅の確保や就職など基本的な生活基盤を築くことさえ難しく、本人の真摯な更正意欲だけでは、その社会復帰は厳しい状況にあります。刑を終えて出所した本人だけでなく、その家族も社会からの偏見や差別を受けることがあります。
 刑を終えて出所した人が真摯に更正し地域社会の一員として生活を営むためには、地域など周囲の人々の理解と協力が欠かせません。
 和歌山県地域生活定借支援センター(※)を拠点に、高齢者または障害のある人で、刑務所等矯正施設からの退所者・退所予定者は及び被疑者・被告人のうち、福祉支援が必要とされている人の社会復帰の支援が行われています。

(※)和歌山県地域生活定着支援センター
 高齢者または障害のある人で、刑務所等矯正施設からの退所者・退所予定者及び被疑者・被告人のうち、福祉的支援が必要とされている人の社会復帰を支援するとともに再犯防止を図るため、矯正施設や保護観察所等と協働して、福祉サービスを利用するための手続きを行っています。

ホームレス

 失業や家庭問題等様々な要因により、自立の意思がありながら、ホームレスとなることを余儀なくされている人たちがいます。ホームレスの中には衛生状態が悪い、十分な食事を取ることができないなど、「日本国憲法」で保障された健康で文化的な生活を送ることができない人もいます。また、ホームレスと地域社会との間にあつれきが生じたり、ホームレスへの暴力なども発生しています。
 平成14年(2002年度)8月には「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」が施行されました。同法は、地域社会との協力のもと、職業能力の開発などによる就業機会や安定した居住空間、保健医療の確保などの施策を通して、ホームレスの自立を促進していくことや、ホームレスとなることを防止するための生活上の支援などについて定めています。また、平成15年(2003年)7月には同法に基づき「ホームレスの自立の支援等に関する基本方針」が策定され、平成29年(2017年)に15年間の時限法であった同法の期限が10年間延長されたことにより、平成30年(2018年)7月に、この基本方針の一部改訂が行われたところです。
 私たちは、一人一人が平等な存在として人間らしく生きる権利をもっており、誰もが健康で文化的な生活を送ることができる社会を実現するためには、社会福祉施設とともに、私たち一人一人がホームレスに対する理解を深め、人権に配慮することが大切です。

LGBTや性同一性障害のある人等の人権

 恋愛・性愛の対象が同性に向かう同性愛、男女両方に向かう両性愛といった性的指向(※)のある人は、周囲の差別的な言葉や雰囲気に苦しみを感じていることが少なくありません。
 さらに、身体の性と心の性が一致しないことで違和感をもつトランスジェンダーも、周囲の差別的な言葉や雰囲気に苦しみを感じるとともに、服装やトイレ等について様々な悩みを抱えています。特に、児童生徒については、学校生活における配慮が必要となっています。
 また、性同一性障害のある人とは、生物学的には性別が明らかであるにも関わらず、心理的にはそれとは別の性別であるとの持続的な確信を持ち、かつ、自己を身体的及び社会的に他の性別に適合させようとする意思を有する人であって、そのことについてその診断を的確に行うために必要な知識及び経験を有する2人以上の医師の一般に認められている医学的知見に基づき行う診断が一致している人をいいます。性別適合手術を受けた人については、戸籍上の生別と外観が一致せず本人確認等で問題が生じているため、平成16年(2004年)7月に「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」が施行され、家庭裁判所の審判によって性別の変更が認められることとなりました。平成20年(2008年)12月には同法が改正施行され、家庭裁判所による性別変更要件が緩和されました。

(※)性的指向
 人の恋愛・性愛がどういう対象に向かうのかを示す概念のことを言います。

患者の人権、アイヌの人々の人権や北朝鮮当局による拉致問題等

 患者の人権や色が識別しにくいことにより印刷物等が判断しづらい等社会参加の妨げとなっている色覚特性(※1)のある人の人権、アイヌの人々(※)の人権、中国残留孤児やその家族の人権などに関する問題、北朝鮮当局による拉致問題や医療技術の進展に伴う新たな問題発生の懸念もあります。

(※1)色覚特性
 色覚異常は、黄色人種では男性の20人に1人(5%)、女性の500人に1人(0.2%)にみられると言われており、日本では300万人を超えると推計されます。 
 人には様々な個人差があり、色の見え方も必ずしも同じではなく個人差があることから、和歌山県においては色覚異常をその人の持つ特性と捉えて、色覚バリアフリーを進めることとされています。
(※2)アイヌの人々
現在の北海道を中心に、東北地方、サハリン、千島列島などで、固有の言語や伝統などの独自の文化をもって暮らしてきました。近世以降のいわゆる同化政策等により、その文化の十分な保存・伝承が図られているとは言いがたい状況にあります。
 平成9年(1997年)7月には「アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律」が施行されました。また、平成19年(2007年)9月に国連で「先住民族の権利に関する国連宣言」が採択され、平成20年(2008年)6月には「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」が国会で決定され、初めて、公的にアイヌの人々が先住民であると認められました。
 また、従来の福祉政策や文化振興に加え、地域振興、産業振興等を含めた様々な課題を早急に解決することを目的に、令和元年(2019年)5月に施行した「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」にもアイヌの人々が先住民族であることが明記されました。
 

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